学生の活躍
掲載日:2024.02.07
ニセコからレスブリッジへ
グローバルセミナーは、2020年開講の法学部独自プログラムの一つ。将来英語を使って国内外で活躍したいという法学部生のモチベーションに応えるための科目群です。まず、国際化が著しい北海道・ニセコでEnglish-Onlyキャンプ。そして、本学協定校のレスブリッジ大学(カナダ・アルバータ州)への留学。ニセコからレスブリッジへとステップアップができる構成になっています。
この度、グローバルセミナーの魅力と実態に迫るために、札幌とレスブリッジをオンラインでつないで座談会を開催。関連の学生・先生方に語り合っていただきました。
(*本記事は『法学部報』49号掲載の特集記事のロングバージョンです)
◎参加者
・レスブリッジから
内田 優芽子 さん(法学部政治学科3年)
谷 悠花 さん(法学部政治学科3年)
池田 真歩 先生
・日本から
赤坂 和哉 さん(法学部1年)
松浦 和宏 先生
佐藤 ケイト 先生
科目名 | 開講年次 | 内容 |
---|---|---|
グローバルセミナーⅠ | 1年次以上 1学期-夏季集中 | ニセコ English-Only キャンプ |
グローバルセミナーⅡ | 2年次以上 1学期 | 留学準備研修 |
グローバルセミナーⅢ | 2年次以上 2学期 | レスブリッジ大学に4ヶ月留学 |
グローバルセミナーⅣ | 2/3年次 2学期 | レスブリッジ大学に8ヶ月留学 |
ニセコキャンプをきっかけに
松浦(グローバルセミナー担当教員)
-今日は、グローバルセミナー(以下、GS)ⅠのニセコキャンプからGS Ⅲ・Ⅳのレスブリッジ大学留学へとつなげた、もしくはつなげていきたいという学生さんに集まって頂きました。
まずは、GS Ⅰを履修したきっかけは何だったかお聞きしたいです。
内田(2023年度GS Ⅳ履修生)
-もともと留学には行きたかったのですが、なかなか親からOKが出なくて。英語を使う機会を探していた時、GS Ⅰを見つけて参加しました。この時、英語は勉強してきたけれど話すことって難しい、と気づきました。将来の選択肢の一つとして観光業にも関心を持ちました。英語が、ただの憧れではなく、英語を使って将来何をしたいのか考えるように変わっていって。親へも留学の目的をしっかり伝えて、わかってもらえるようになりました。
谷(2023年度GS Ⅲ履修生)
-大学入学直後のガイダンスでGSを知って、絶対参加しよう!となりました。卒業後は大学院で修士号をとりたいので、英語力は必須。ニセコキャンプや留学はこの目標に向けたステップの一つです。
松浦
-お二人ともニセコキャンプが留学への後押しになったんですね。
内田
-キャンプの夜にはGS Ⅲ・Ⅳについて話す機会もあって、応募するならTOEICなどのスコアが必要になると知ったのもその時。本当にターニングポイントでした。
留学のかたちは色々あったと思いますが、私は、所属学部のプログラムでサポートしてもらいながら経験を積み上げていこうと思い、GS IVに応募しました。
谷
-私もキャンプ中にGSの留学プログラムについて話せて、後から必要なスコアなどを確認し、それに向けてひたすら準備していった感じです。
松浦
-どんな準備をしていきましたか?
内田
-11月にGS Ⅲ・Ⅳの説明会がありました。年明け1月に書類提出を経て、2月に面接という流れでした。その間、オンライン英会話のコースを受けたり、文法や単語の勉強もしました。
オンライン座談会の様子。
内田さん(中段左)、谷さん(下段右)、池田先生(上段右)、赤坂さん(下段左)、佐藤先生(中段右)、松浦先生(上段中央)。他、構成担当の高橋美野梨先生(中段中央)、津田久美子先生(上段左)。
留学準備!ビザの取得や研究テーマの設定
松浦
-4月からのGS Ⅱ・留学準備研修では、佐藤先生と密に進めておられましたが、どうでしたか?
内田
-学生ビザの準備などを行いました。時間はかかりましたが、先生方にサポート頂きながら進めることができました。話はそれますが、ちょうどその時期レスブリッジ大学から北海学園に来る交換学生をサポートする「協力学生」になって、会話力アップや国際交流の点でとても有意義でした。おススメです!
佐藤(グローバルセミナー担当教員)
-特にGS Ⅳについては、長期の留学ということで提出書類が多く、入管審査も厳しいため、GS Ⅱで細かくチェックする必要がありました。やりとりはすべて英語で大変だったと思いますが、お二人とも留学直前には会話がスムーズになって、すばらしい成長でした。
GS Ⅱには研究テーマの設定もあります。お二人の希望を聞きながら決めました。
谷
-私のテーマは、もともと教育政策に興味があったので、カナダの教育政策。レスブリッジ大学は先住民の人たちが住んでいたところに建っているので、大学における先住民の学生たちの現状調査をして、テーマを深掘りしてみようと思っています。
内田
-私のテーマは、先住民が受けてきた迫害の歴史です。計画していた研究方法には少し見直しが必要な部分もありますが、今受けているクラスの先生が先住民に詳しく、教材も先住民に関することが多いこともあり、軌道修正をはかっているところです。
佐藤
-先住民というテーマはとてもセンシティブ。これからどう向き合っていくか、方法論も含めてお二人とのやり取りを続けています。
レスブリッジ大学のキャンパス。谷さんご提供。
いよいよ留学!どんな勉強中?
佐藤
-9月からレスブリッジ大学でEAP(※)を受けていますね。どんな授業ですか?
(※English for Academic Purposes=大学で専門的に学ぶための英語学習プログラム。)
谷
-午前中はリーディングとライティング、午後はコミュニケーション(スピーキングとリスニング)のクラスです。基本は、共通教材をもとに、グループワーク、ディスカッション、発表。法学部のゼミ(演習)のような感じ。クラスは英語力に応じた4レベルに分けられています。
内田
-私は、午前中のクラスは一番上のアドバンス・レベルに入っています。英語のレベルが高いので、予習・復習がとても大事。クラスメイトのモチベーションも高くて刺激を受けています。
佐藤
-発表はどんなスタイル?
谷
-リーディングクラスでは1冊の本を1人1章ずつ要約するのですが、その中で難しかった単語を紹介したり、本に関する問いを3、4つ提示したりする発表スタイルです。コミュニケーションクラスではチーム発表もあります。発表のあとは先生やクラスメイトとディスカッションします。
内田
-発表の他には、エッセイの執筆もあります。分量は1000ワードで、書き方も教わりますが、難しい部分もあるため、カナダ人の友人に相談しながら取り組んでいます。
佐藤
-宿題はどうですか?
内田
-だいたい毎日出ています。小説のこの部分を読んできてとか、エッセイのアウトラインを持って来てとか。できるだけ早めに終わらせて、週末はダウンタウンに遊びにでかけたり、映画に行ったりしています。
谷
-宿題が多いと週末すべてをそれにあてることもありますが、余裕がある週末は、友人のホームパーティーに参加したり、映画を観たりして過ごしています。
佐藤
-EAPのクラスメイトの出身地は?
谷
-クラスメイトは10人前後で、半数が日本から、残りは韓国、ブラジル、中国などです。
内田
-私のクラスは韓国、中国、ウクライナ、モンゴルなどです。
レスブリッジ大学での学習。
EAPのテキスト・ノート(左・谷さんご提供)、歴史学講義のノート(右・内田さんご提供)。
レスブリッジでの日々
佐藤
-授業外でクラスメイトとの交流はありますか?
谷
-私はEAPの友人と過ごすことが多いです。中国とブラジルの方とよく一緒にいます。
内田
-私は「協力学生」の時にできた友人との交流を続けていたり、ステイ先のルームメイトからネイティブの方を紹介してもらったりしています。日本語を履修している現地の学生と交流する「カンバセーション・カフェ」にも行っています。
佐藤
-これからやりたいことは何ですか?
谷
-11月半ばに一週間ほど秋休みがあるので、ホストファミリーに日本食を作ってあげたい。友人とダウンタウンに行く約束もしています。
内田
-私は秋休みにケベックに行く予定です。カナダは広いので色々なところに行きたいと思っています。
佐藤
-レスブリッジはどんな街でしょうか。
池田(2023年度レスブリッジ大学派遣教員)
-人口10万くらいでしょうか。賑わいはありますが、ダウンタウンは小さく、その周りに住宅地があり、その先は広大な農地です。
こちらに来て予想以上だったのが、日系カナダ人コミュニティが力強いということ。レスブリッジは20世紀に入ってから日本移民が住み始めて、戦時期を経て、戦後も残った人たちがつくってきた色々な集まりがあります。このようなコミュニティの存在はGS履修生にとっても良い環境だと思います。
佐藤
-それは想像以上ですね!今後のGSに反映しようかな。
池田
-気候については、ここ数日急激に寒くなって、雪も降りました。札幌以上に寒暖差が激しいです。札幌と同じで家の中はとても暖かいです。
厳冬のレスブリッジ。内田さんご提供。
松浦
-赤坂さんからはどうですか?
赤坂(2023年度GS Ⅰ履修生)
-内田さんとは「協力学生」でご一緒しました。英語がよくしゃべれてすごいなと思っていました。今日もお話しを聞けて、留学が身近なことなんだと感じ始めています。
質問をいくつか持ってきたのですが...。
松浦
-どうぞ!
赤坂
-滞在費は日本で貯めましたか?現地でバイトできるのでしょうか?
内田
-GSの場合、現地でのバイトは禁止だと理解しています。日本にいる間に貯めました。
谷
-渡航費も含めると、GS IIIは150万円、GS IVは200万円、最低でも見積もっておかないといけません。日本でしっかり計画を立てることが大切ですね。
赤坂
-留学中に必要になったものは?
内田
-「カンバセーション・カフェ」にはアニメ好きな人が多いので、日本のアニメ系のお土産が必要かなと思いました。日本のお菓子も。アーモンドチョコがいいと聞いて持っていったら、本当にみんなハグするくらい喜んでくれました。
谷
-お土産にはうちわも良いですよ!絵柄が素敵なものが沢山あります。
赤坂
-ハロウィンはどうですか?(※撮影日、ちょうどハロウィン)
内田
-すごいですよ。ゾンビが出てきたり。大学内でのハロウィンパーティーやダウンタウンのクラブに仮装して行ったりもしました!
ハロウィンの日に、EAPのクラスメイト・先生と仮装して。谷さんご提供。
挑戦してみよう!
松浦
-最後にメッセージをお願いします。
谷
-私は日本では課題やバイトなどで忙しくしすぎていたこともあり、こちらではむしろ生活にゆとりがあって(笑)、何もかも楽しいです。とはいえ、留学に来ている人のモチベーションはそれぞれなので、なんで留学したいのか、目的意識をしっかり持って来ることをオススメします。大学で資料収集したり、友達と話したり...何をやっても新鮮で魅力的ですよ!
内田
-英語の勉強は日本でもできますが、現地に来たからこそ身につくこともあります。自分の成長を自分で感じられる楽しさがあります。迷っていてもちょっとでも興味があるのなら、GSに挑戦してみたら良いと思います!
池田
-留学生活への不安を感じて応募をためらう人もいるかもしれませんが、レスブリッジ大学の経験豊富なインターナショナルセンターが手厚くサポートしてくれます。ぜひ多くの学生さんにGSに挑戦してほしいです!
佐藤
-応募をお待ちしております!
レスブリッジ大学内の様子。内田さんご提供。