法学部で学ぶ=生きるための学び

法学部長若月 秀和
「将来、どういう職業に就こうか?」。その思案の結論が中学生や高校生の段階で、早々と決まっている人はそう多くはないだろうと思います。仮に決まっている人は、医学部や畜産学部といった学問領域が特化されている大学や、各種の専門学校に進むことになるでしょう。これに対して、決まっていない人は、自分の学力偏差値を基準に、特定の大学の複数の学部を受験して、合格した学部に入学するパターンになります(私もそうでした)。その際に、「とりあえず、ツブシの効く所に行こうか」という観点で選ばれるのが法学部ではないでしょうか。
とはいえ、「ツブシが効く」として法学部が選択されるということについて、決して消極的にとらえる必要はありません。むしろ、入学した学生の一人一人にその後の人生における幅広い選択肢を提供するというのが、「ツブシが効く」と読めるからです。成熟社会となってから既に久しい日本社会の中で、18~19歳で人生の先行きを決めよというのは、いささか酷なことでしょう。若者たちに、しばし立ち止まり、沈思熟考して自身を見つめ直し、社会で生きる道を見出だしていく場が大学、特に法学部なのです。
本学法学部は法律学科と政治学科で構成されています。もちろん、入学してくる学生の中には、法律学を学ぶことで弁護士や裁判官などの法律家を、あるいは政治学を学ぶことで地方議員や国会議員などの政治家を目指す人は一定数いますが、むしろ少数派です。
しかし、法律家や政治家を目指す人でなくとも、法学部で学ぶ意義は十分すぎるほどあります。本学を卒業した学生が公務員や民間企業、あるいはその他の職種に進んだとしても、結局のところ求められるのは、目の前にある課題や困難を、法律学や政治学で培った知識や思考力を武器に、多くの人々が納得する形で解決に導く能力です。すなわち、リーガルマインド(法律を使って適切に問題を解決する能力)やクリティカルシンキング(批判的思考)と呼ばれる能力です。
人間は基本的に孤立した状態で生きていくことはできません。家族や学校、会社、自治体、国まで様々な集団の中で、お互いに支え合いながら初めて生きることのできる社会的な存在です。集団と集団の間、あるいは集団内部では、様々な意見対立や利害対立が日常茶飯事です。それゆえに、社会の中で生きる以上、いかなる人も法律や政治から免れて暮らすこともできません。実に、法学部での学修は、人間として生きていくための学びなのです。そして、その学びが、より実質的なものとなるよう、私たち教職員一同、全力でサポートしていきたいと考える所存です。
法学部沿革
1964(昭和39)年 | 北海学園大学法学部1部法律学科、2部法律学科を開設。 |
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1986(昭和61)年 | 北海学園大学大学院法学研究科法律学専攻修士課程を開設。 |
1992(平成 4)年 | 北海学園大学大学院法学研究科法律学専攻博士(後期)課程を開設。 |
1999(平成11)年 | 北海学園大学法学部1部政治学科、2部政治学科を開設。 |
2003(平成15)年 | 北海学園大学大学院法学研究科政治学専攻修士課程を開設。 |
2005(平成17)年 | 北海学園大学大学院法学研究科政治学専攻博士(後期)課程、北海学園大学大学院法務研究科(法科大学院)法務専攻専門学位課程を開設。 |